パソコン使いこなしノウハウ集 TopPage
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■FrameMakerによるDTPの長所と短所

■ページ数のコントロール

「本」という印刷物では、ページサイズとともにページ数のコントロールも重要である。「本」という体裁は、基本的には4ページ(1枚の紙をふたつに折った状態)が最小単位になるので、本のページ数はなるべく4で割り切れるように編集時に調整されるのが理想である。また、孤立行を前ページに追い込むために部分的に字間や行間を詰めることもある。

しかしFrameMakerの場合、全体のページ数や1ページ内の収まり具合をしん酌する余地はあまりなく、他のレイアウトソフトや写植のような文字幅や文字間、行間の部分的な微調整は(できないわけではないが)避けたほうがよい。
なぜなら、段落書式と文字書式で既定されている以外のイレギュラーな指定は、後で新たな書式変更やBookの更新、他のドキュメントとの書式情報のやりとりが行われると警告なしに破棄されてしまうからだ。しかも、PageMakerの「スタイルなし」やQuarkXPressの「スタイル解除」のような「書式を適用しない状態」が選べない。ドキュメント上の全てのテキストは、必ずいずれかの段落書式の影響を受ける。

孤立行を回避するための追い出し(任意の行数がページやコラムの先頭に位置するように設定すること)はできるが、追い込みはあきらめた方がよい。どうしても必要になったら、組版的な部分調整ではなく文言の推敲によって字数、行数を削減するべきだろう


孤立行の設定

例外は「テキスト行」ツールで入力したテキストで、これだけは書式の影響を受けないが、名前の通り1行ずつしか存在できないし。またテキスト書き出しの際には漏れてしまう。「テキスト行」はイラストの単発キャプションやマスターページで装飾の一部として使用する程度にとどめるべきだ。

テキストフロー

ドキュメント内のテキストは、基本的には、テキストエディタやワープロのように第1ページの1行目から最終ページの最終行まで連続していることが望ましい。FrameMakerは「テキストフロー」という単位でテキストの連なりを監理しており、FrameMakerの利点であるデータ転用の際、テキストの書き出し(RTFやXMLなどの各種形式も含む)では、テキストフロー以外のテキストは正しい位置・順序で書き出されない。また、テキスト行で入力したテキストは無視され、書き出しから漏れてしまう。

マスターページのテキスト枠
FrameMakerではマスターページで設定したテキスト枠は、ボディページで変更することは避けたほうがよい。上述の部分的な書式変更と同様のリスクがある。

マスターページは、見開きドキュメントの場合、左右のレギュラーと先頭ページ(章トビラなど)の3種類にとどめるのがベター。ドキュメントの途中で左右のレギュラー以外のマスターページを適用しても、それ以前のページで行の増減が発生すれば、テキストが流れて、適用したページは取り残されてしまう(FrameMaker 7.0では、任意の段落書式に連動したマスターページの適用が可能になったが、ページの左右を自動認識することはできない。)。

また、レギュラー以外のマスターページを適用すると、テキストの大幅な削減などでページ数が減少してもページ数の自動調整機能が働かず、テキスト末からレギュラー以外のマスターページを適用したページまでの空白ページが残ってしまう。